剣岳

　前日のあの大きく聳える剣岳にはとても感動した。こんな感動を味わうのは久しぶりである。岩の固まりのこの山はなかなか手強いとはわかっていたが、あの姿を見ると、やはり人を寄せ付けない威厳のようなものを感じた。新田次郎の小説の「劔岳＜点の記＞」でのことが頭にあったので、本当にその通りである姿がとても素晴らしかった。
　実際に登り始めると、途中かなりスリリングな所があり、一歩ずつ慎重に登り、本当に山に登っているというある意味楽しい登山であると感じた。大きな荷物は、剣沢小屋前のテント場に置いてきたので、ほとんど空身での歩きであったが、やはり岩登りとあって「登りがい」があった。「カニの縦這い」ではほとんど垂直に近い岩の壁を登る感じで、心地よい緊張があって楽しかった。卒業生の１人は少し怖がっていたが、何とか無事通過できた。
　頂上に着くと何とも清々しい感動が沸き上がってきた。天気も良く、白馬岳から後ろ立山連峰にかけての山々がよく見えた。
　下りは同じコースを通ったが、途中の一部で登りとは違うコースを通った。下りの方が楽で、これといった難所はなかった。