十勝岳

　前日泊まったYHの同部屋の人に「ファーム富田」に車で寄ってもらった後、上富良野駅からバスに乗った。ラベンダーを見た後だけに、華やかな気持ちで十勝岳に望むことができた。
　十勝岳への登路は上ホロカメットク山経由で登ることにした。途中の安政火口近くまでは一般の観光客もいる。普通、ここからの登山者は富良野岳に登る人が多いようだ。途中の分岐で富良野岳方面とは分かれる。
　稜線に出たところは地図上では特に名前が付いてないが、実際には「上富良野岳」と名前が付いていた。どうも地元上富良野町が名前を付けたようで、その名前の脇には「H.9.6.29」の日付が付いていて、真新しかった。
　十勝岳の頂上に着いたときにはガスが出ていて一部の方向しか眺めが得られなかった。しばらく休んでいたら、４，５人のパーティーの１人が座り心地のよさそうな石に腰掛けて「王者の椅子をまた見つけた」と言ってくつろいでいた。その気持ちはとてもよくわかる。
　十勝岳からは望岳台方面に下る。急な上にとても歩きにくく、滑りやすい道だ。一部富士山のような砂走りのところがあってここは歩きやすかったが、全体的にはあまりいい道とはいえない。途中で抜かした中高年の女性は「こんなにひどいなんて」と憤慨していた。
　望岳台の駐車場にはキタキツネがいて、周りの車や人には全くお構いなしに近くにいる猫を意識しているようだった。人間になれているようだ。そのときにすぐ近くでキツネについて話を一緒にした人（群馬のＹさん）の車で白金温泉まで乗せてもらった。Ｙさんたちは若い夫婦のようで、車で北海道に来ていて、車中泊をしたりしながら回っているようだ。
　白金温泉は立派なホテルや温泉旅館があり、案内所で本日の宿について訪ねたが、残念ながら宿は取れなかった。しかし、野営場があるということで、野営場で一夜を明かすことにした。貸しテントは登山用とは違い、あまりにも重く大きく、一人では建てられず、野営場の人に手伝ってもらって建てた。