後方羊蹄山

　　バテた。久しぶりの登山らしい登山でとにかくバテた。今年はこれといった訓練山行もなくいきなりの“合宿”だったので、不安はあったがここまでバテるとは思わなかった。
　前日の寝台特急「北斗星１号」で北海道入りし、いきなりの登山であった。個室のＢ寝台とはいってもあまり眠れず、やや体調が悪い。比羅夫の駅に着いたときは快晴で北海道らしい爽やかな気候だった。しかし歩いていくうちに爽やかさが暑さに変わり、体調が悪くなってきた。２合目で昨日上野で買ったアンパンを少し食べた。こんな調子で上まで行って来れるか疑問である。
　やっとの事で６合目に着いた。４〜６合目の間が思っていたよりも長かったので、ややショックであった。８合目に着く頃には歩いている時間よりも休んでいる時間の方が長いように感じる。この日のうちに下山できないか不安になる。頂上に着いたときには天気も悪くなり、風も強くなってきた。頂上付近はガレっぽくて、細かい石がたくさんある。結局登りでの遅れを取り戻すことができず、この日は下山を断念して避難小屋に泊まることにした。しかし小屋は食事の提供がなく、あり合わせの食料で食事をとることにした。夜はカロリーメイト１箱とアンパン半分とコーヒー、朝もカロリーメイト１箱とアンパン半分とコーヒーだけである。
　朝になっても疲れは残っている。この日は下山だけなのにいつものようなペースが出ず苦労する。もし昨日あのまま下山したらと考えだけでもゾッとする。下るにしたがって元気が出てきた。麓のキャンプ場にある水道で手と顔を石鹸で洗い、さっぱりした。駅に着くと誰もいなかった。じっとしていると爽やかな風が吹いてきた。