羅臼岳

　岩尾別ユースホステルからの羅臼岳登山者は利尻山の時よりもかなり多く、自分を含めて１６人であった。しかし利尻の時と同じように登山者らしい人は少ない。それでもかなりの経験者らしい人がいて、何となくその人がパーティーのリーダーになってしまった。その人は縦走も考えていたらしく、車には装備がかなりあった。知床は熊が多く出る所で、単独で登るよりも安心できる。そのような意味でも団体はいいかもしれない。かなりの人はカウベルを付けていて、熊対策は万全だ。
　ペースはややゆっくりめで、かったるい。やむを得ない。山そのものはそれほどきつくなく、思っていたよりも楽に登れた。途中で知床五湖の一部が見え、天気の回復が期待された。沢沿いのやや急な登りになる頃から風が強くなり、ガスも濃くなってきた。このコースは約１時間毎に水場があり、水筒がなくてもそれほど困らない。
　羅臼平に着くと”リーダー”の友人が偶然にいて、またその友人はギターを持っていた。そのギターでの伴奏でリーダーが踊りだした。リーダーがいっこうに踊りをやめない姿に、何人かのメンバーがややいやな雰囲気になった。確かに友達との再会を喜ぶのもよいが、まわりの者にとっては登頂することの方が大切だ。今度は自分が新しいリーダーとなり、頂上に向かった。
　頂上は岩場の狭い所で、十数人がゆっくりと食事をするような所ではない。自分は羅臼平にザックを置いてきてしまったので、頂上では食事はできない。頂上で昼食をとりたい人も何人かいたが、結局は羅臼平でとることになった。
　下山は途中の弥三吉水まではほぼ全員で下りたが、バスに間に合うか微妙となり、自分を含めて４人は先に下山することになった。結局２０分後に残りの人たちも下りてきた。そんなに急ぐ必要はなかった。