大台ヶ原

　またもや夜行バスである。白山の時ではかなり眠れたので、今回もあまり躊躇することなく選んだ。今度のバスはシートが３列のバスで、幾分幅は広い。今回もまあまあ眠れた。もう夜行バスは得意になってしまった。
　やや早く大和八木駅に着いた。特にやることもないのですぐに大和上市駅に向かって電車に乗る。大峰山のこともあるので、念のために大和八木と橿原神宮の両駅で時刻表を調べておく。今回のように早くバスが着けばもっとも早い連絡バスに間に合うがそれも期待できないことがわかった。とりあえずメモだけする。
　大台ヶ原に近付くと大峰山が大きく見えた。山上ヶ岳や大普賢岳がひときわ大きく見える。紅葉も少しはあったがあまりパッとしない。今年はどこもあまりよくないようだ。
　大台ヶ原はほとんど山の頂上といった感じで、まわりにこれといった山が見えない。ちょっと想像していた景色とは違う。時間が気になるが、直接日出ヶ岳に登るのはおもしろくないので、尾鷲辻、正木ヶ原経由で歩くことにした。途中で木の影にうっすらと積もった雪を見る。前日にでも降ったのだろうか。しばらく歩くとあちらこちらに雪が積もっている。あとで聞いたのだが、前日の夜はかなり降ったとのこと。この年の初雪だそうだ。
　正木ヶ原から日出ヶ岳にかけては立ち枯れの木が目立ち、その理由が説明されている案内板が立っていた。それによると多くの木が台風で倒され、今度は笹原となり、この笹を食べる鹿が増えて再び木の皮を食べたりしてなかなか木が育たないとのこと。実際にすぐそばには鹿が何頭か笹の葉を食べていた。納得。
　日出ヶ岳の頂上からは西に大峰山がよく見える。しかしかなり離れているような感じで、迫力はない。東には伊勢方面の美しい海岸が見えた。この日出ヶ岳までは大台ヶ原の駐車場からはすぐに登れるので、かなり多くのハイカーがいた。自分はここから大杉谷へ下る。大台ヶ原を味わうには大杉谷をはずすわけには行かない。
　始めは急な下りだ。しばらく歩くと次第に緩やかになり、だらだらとした下りが続く。だんだん足が痛くなってきた。なかなか桃の木小屋に着かない。やっとの事で小屋に着くと小屋にはすでに多くの人たちが到着していた。小屋は結構大きく、かなりの人数が泊まれそうだ。沢沿いにある小屋なので、風呂もある。
　翌日小屋を出て松阪方面に向かって下る。途中吊り橋の上からカモシカを見かけた。じっとしていて全く動かない。こっちもしばらく動かないで見ていたが、カモシカにはかなわなかった。さらに大杉谷を下る。季節的には紅葉にちょうど良い時期かと思っていたが、これといった紅葉は見られなかった。いくつかの滝とのツーショットを期待していたが、これといった絵にはならなかった。しかしニコニコ滝や、千尋滝はなかなかすばらしい。
　やがて谷沿いの道も終わり、宮川第３発電所に到着した。ここからは、舗装道路の道だ。この時期の湖の水はあまり多くはなく、第３乗船場まで歩かされた。