草津白根山

　日帰りで行ける山として以前から草津白根山を考えていたが、第２土曜日ということもあって思い切って車での日帰りを実行した。駐車場そばのお釜を持った方の草津白根山の方は何度かのぞいたことがあったが、本当の頂上や、本白根山の方はまだだった。この日は本白根山に登ることが主な目的で、うまくいけば草津白根山の本当の頂上にも登ろうとも思っていた。
　天気はあいにくガスっていて、視界はあまりない。とりあえず本白根山に登ることにした。草津白根山の人混みとは打って変わって、本白根山は静まり返っていた。スキー場のスロープを歩き始めるとしばらくして樹林帯になり、いい雰囲気だ。大した登りもなく、程なくして登山道はなだらかになった。やがて火口の縁にでる頃から高山植物の女王といわれるコマクサが現れ始めた。コマクサの群落があるというのは以前からわかっていたが、実際にその場に立つとすばらしいの一言につきる。群落というのは本当はこんな状態を言うんだろう。今までに見たこともないような群落だ。しばし見入ってしまった。今まで見たコマクサよりも花の色の赤が強くて、力強ささえ感じた。
　本白根山の頂上は三角点があるだけの何もないところだった。このときはガスがかなりでてきて本当は見えるはずの浅間山の姿も見えなかった。
　鏡池の底は亀甲状の模様があり、美しい池の一つだ。この池の畔で横になってみた。耳を澄ますと遠くの方から一匹の鳥の鳴き声だけが聞こえてきて高原のようなロマンチックな気分だ。心を洗われて下山することにした。
　途中から雨に見舞われてしまい、雨具を着るのが遅くてずぶぬれになってしまった。雨は強まったり弱まったりしながら、いろいろな表情を見せてくれた。樹林の中を歩いているときは雨に濡れても不思議といやな気持ちにはならない。自然に体全体で受けとめるのもいいものだ。
　駐車場に戻っても雨はやまず、人影もまばらだった。チャンスとばかりに、草津白根山の頂上に足を向けた。意外と楽な道で、途中からロープをまたいで歩いたが、踏み跡があって最近にも頂上に来た人がいたと思うと安心する。
これで草津白根山（本白根山も含む）を制覇したことになった。お釜をはじめて見てから１２年でやっと白根山を終えたのだ。