黒岳

　初めて一人で北アルプスに出かけることにした。もちろん百名山を意識してのことである。信濃大町からはタクシーの乗り合い四人で高瀬ダムまで入った。バスが七倉まで入っているが、タクシーだとバスの終点よりもかなり奥まで入ってくれるので助かる。このコースは裏銀座コースと呼ばれていて人気の高いコースだ。初日は高瀬ダムから烏帽子小屋までのつもりだった。しかし、思ったよりも調子が良いので、野口五郎小屋まで歩いてしまった。というわけで、黒岳は２日目に登った。
　あさ野口五郎小屋を出たときはまだ晴れていたのだが、水晶小屋に近付くにつれて、ガスが多くなり、小屋から水晶岳への往復ではかなりガスっぽくなってしまった。黒岳(水晶岳)は北アルプスのほぼ中央にあって、いろいろな山が見えることで有名だ。期待していたが、残念ながらガスが一面に広がってしまい、視界ゼロであった。頂上付近は岩場で、視界が良い時はかなり緊張していただろう。幸か不幸か視界がないので、あまり恐怖感もなく頂上に立てた。小屋と頂上の途中にはかなり大きな雪渓があって、ここに落ちたら命はないと思った。
　小屋付近は雪渓がまだ大きくあって、ここが水場として使われているようだ。当然冷たい。ここで水を補給した。