石鎚山

　　石鎚アルペン切符という割引切符があることを知って、これを使うことにした。この切符はある駅から伊予西条駅までの鉄道（特急自由席が使える）、石鎚ロープウェーまでのバス、それに山頂成就駅までのロープウェー乗車券の往復がセットになって割り引いたものである。阿波池田から多度津までは普通乗車券で、アルペン切符は多度津からのものを買った。
　伊予西条駅を出たバスは途中の河口（こうぐち）で休憩をとった。バスを降りて周りを眺める。新緑と紅葉の頃は最高であるとのこと。かつてバスが通った道が今の道のすぐ横にある。とても狭いところだ。
　成就社からしばらく歩くと雨が降ってきた。始めは小降りだったので我慢して歩いた。しかし途中の休憩小屋で雨具とザックカバーを付けた。夜明峠はガスの中だった。時たまガスが切れて周りが少し見える。しかしまだ目指す石鎚山は見えない。すぐに一ノ鎖となる。とても太い鎖で、鎖というよりは鉄棒といった感じである。思うように扱えない。それでも何とかしがみつくような感じで登った。やがて二ノ鎖でも太い鎖が現れた。この鎖を使って登るうちにうまく鎖の輪の部分に足を入れるとうまい具合に登れることを発見した。それからは結構楽に鎖登りができるようになった。
　最後の鎖を登り切ったところが石鎚神社だった。すぐとなりには小屋もある。この日はこの小屋に泊まった。ここからの石鎚山の眺めは写真で見る石鎚山だ。それほど時間もかからずに頂上にたどり着けた。ここが四国の最高地点だ。このことを学生風の２人が言っていた。確かに。
　翌日、小屋の同宿者の人たちとご来光を見た。雲が多かったものの、まあまあ見れた。下りは鎖を使わずに巻き道を使って楽な道を下った。もっとも登りでもこの道を使う人は多くいるが…。
　成就社に戻ると石鎚山が入山口の門の上に神々しく聳えているのが見えた。信仰の山を誰もが感じる風景である。