五竜岳

　雪を気にしながらも、この年は比較的遅めに雪が降った年であったため、何とか実現できた。始めから五竜岳と鹿島槍ヶ岳はセットで登ることを考えていた。実は２、３年前から計画をしていたのだが、色々な都合でこの年になってしまった。
　この山行も夜行列車を使った。何回目でも夜行列車はなかなか眠れない。この時はかなり混んでいて、やっと座れたぐらいだった。隣には予備校生が座り、彼が下車するまでずっと話し込んでいた。その後話す相手もいなくなり、眠れればよかったのだが、なかなか眠れず、とうとう信濃大町に着いてしまった。それでも２時間ぐらい眠れたか。
　五竜遠見スキー場のテレキャビンの始発時間にはかなり時間もあり、退屈した。しかし近所にコンビニなどはなく、この時間では営業している店はない。食料を買い込むことができずに、あり合わせのものでこの先過ごすことになった。
　テレキャビンを下りたところではかなり深い霧で、この先心配だったが、しばらくすると雲の上に出たのか、青空が広がってきた。６年前にはここを下ったのだがそのときの記憶はあまりなく、新鮮な気分で登ることができた。時期がやや遅かったが、それでも紅葉が楽しめた。大遠見山付近で昼食をとったが、夜行の疲れもあるため、その時にゆっくりと休むことにした。食後に寝転がって目を閉じるとすぐに眠ってしまったようだ。さすがに寝不足が利いたか。
　再び歩き出すと、いままで良い天気であったがだんだん雲行きが怪しくなってきた。とうとう雨が降ってきた。小屋はすぐそこなのに。我慢して歩いた。やがて小屋に到着した。この時は合羽は使わなかった。
　翌日朝は深い霧。前日の夜中はかなり強い雨と風だったので心配されたが、朝になる頃から風と雨はおさまったため、迷わずに計画通り行動する。
何人もの人が空身で登り始める。途中であきらめかける人もいたがその人も仲間の励ましで何とか頂上に到着する。頂上は相変わらず深い霧。全く景色は望めない。
　五竜岳から鹿島槍ヶ岳へ向かって縦走し始めるて高度を落とすにつれてだんだん天気が良くなってきた。もう少し時間がずれていればいいのにと思った。