四阿山

　四阿山だけではなくて根子岳にも行きたいので、縦走するつもりで菅平からの入山を計画した。菅平まで車で行って鳥居峠から菅平口に歩いて下りてバスで再び菅平に戻る計画である。前もって時刻表でバスの運行を調べたが、念のため菅平口のバス停で調べる。しかしどうもわかりづらい。不安がよぎる。しばらく考えた末、鳥居峠からの往復に決めた。情けない。鳥居峠からのピストンでも根子岳まで足を延ばせば縦走に近い満足感が得られるだろう。
　１回目の休憩を的岩でとった。はじめは単なる岩と思っていたが、近付くにつれてそのすごさに驚くことになった。まるで何かを守るかのように分厚い壁のように規則正しく積まれている。これは自然のなせる芸術だ。まるで巨人が岩で積み木遊びでもしたかのようだ。周囲はちょうど紅葉の見頃である。
　しばらく登ると視界が開け、山の中腹の紅葉がよく見渡せるようになった。標高1700m付近から1900m位が帯のように色づいている。やや風が強くなってくる。しばらく登ると林道からの道との分岐にこの山にふさわしい“あずま屋”が建っていた。帰りに寄ることにした。
　頂上に着くまではあまり多くの人には会わなかったが、頂上には人があふれていた。ちょうど昼時とあって、ほとんどの人は思い思いの場所で強風を避けるようにしながら昼食をとっている。北峰も同じだ。北峰の北側からも多くの人が次々に登ってくるため、はじめは北峰はもっと奥だと思い、さらに歩く。しかし急な下りとなり、登ってくる人に尋ねるとスキー場からの登山路だとわかり引き返した。そのコースで登ってくると１時間半ぐらいで頂上に来れるとのこと。頂上の混雑は納得できた。
　頂上付近はガスに包まれて視界は利かない。浅間山はもちろん根子岳すら見えない。しかし雨の心配はない。
　ちょっと遅くはなってしまったが根子岳にも足を延ばす。途中下りで慎重に歩いている高齢者たちのパーティーにややいらいらさせられる。こちらを気づいているとは思うが道を譲る気配はない。強引に抜くのもマナー違反なので譲ってくれるまであとを歩く。自分の後ろにも１人の登山者がいらいらして付いている。広くなったところで自分は抜くことができた。後ろの登山者も抜いたがちょっと接触してしまったようだ。
　根子岳からの四阿山が見たかったが根子岳も相変わらずガスに包まれっぱなしだった。このまま菅平に下りればすぐなのにと思う。しかしやむを得ず鳥居峠に向かって下ることにした。